人工膝関節全置換術(TKA)後は転倒に要注意!特定の部位の骨折を生じやすい!?

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人工膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty:以下TKA)は、

変形性膝関節症や、関節リウマチによる膝関節の変性に対する標準的な手術療法です。

 

多くの場合、歩行をはじめとする日常生活動作の改善に至りますが、

TKAを行う前に比して、より転倒に注意しなければなりません。

 

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TKAを行うことで、

歩行や階段昇降などで生じていた疼痛が改善され、

日常生活動作(ADL)だけでなく、生活の質(QOL)の向上にも期待できます。

 

多くの場合、病院などで手術を受け、

そのままリハビリテーションを行うことによって、

関節可動域や筋力の改善、バランス能力や歩行能力の改善を目指します。

 

こと、TKA直後の膝というものはなんとなく自分の足という感じも得られづらく、

歩行などでも十分な支持を受けきれずに転倒してしまう例もあり、リハビリテーションが重要となります。

 

また、術直後に限らず、社会復帰または畑仕事などの職業や趣味などへ復帰した後に転倒して骨折をきたす患者も少なくないのです。

 

しかもTKA後の骨折は少し厄介なのです。

一体何が厄介なのでしょうか?

 

実は、TKA後の転倒においては、ある特定の部位を骨折しやすく、また後遺症を残しやすい骨折なのです。

今回は、人工膝関節全置換術(TKA)後は特定の部位の骨折を生じやすい理由や、その部位などについて解説します。

人工膝関節全置換術(TKA)後の転倒で骨折しやすい部位とは?

TKAでは、変性した膝関節をセラミックやポリエチレンなどで作られた人工関節に置換する方法です。

 

百聞は一見にしかず…

以下がTKAのレントゲン画像となります。

明らかに右の写真で白く写っている部分が人工関節に置換した部分です。

 

さて、TKA後の膝関節というのは、

現在の最新の人工関節を用いたとしても正座まで行える症例は稀です。

 

個人差はありますが、おおよそ屈曲(曲がり)120°程度行えれば合格ラインと言えるでしょう。

 

ただ、この場合に、もし転倒して正座をするように膝が過剰に曲がってしまったらどうなるでしょうか?

考えただけでも恐ろしいですね。

 

人工関節そのもの非常に強度があるので壊れることはありません。

ここで壊れてしまうのは、自身の骨なんです。

 

そしてこの時に壊れてしまう(骨折してしまう)骨というのが、

人工関節のやや上部の部分にあたる大腿骨の顆上という部位なんです。

そしてこの部位の骨折を大腿骨顆上骨折と言います。

曲がらない膝を強引に曲げ場合、この部位が折れるというのは容易に想像できますよね。

 

TKA手術に関する情報はこちら!
変形性膝関節症の手術療法「TKA」とは?他にも手術の種類があるの?
UKAってどんな手術?TKAとは違うの?そのメリットは?

 

 

TKA後の大腿骨顆上骨折は後遺症が残りやすい?

TKA後の骨折では、

人工関節そのものの破損よりも、大抵の場合は、骨折を生じやすく、

その好発部位が大腿骨顆上骨折です。

 

大腿骨顆上骨折の治療法としては、

手術療法があり、人工関節を残したまま、骨折部をプレートなどで固定することが一般的です。

 

この際、TKAとほぼ同様の皮膚や筋の切開を行う必要があり、

それらの組織が癒着しやすいことや、

プレートなどで固定をしたとしても転位偽関節のリスクなどが生じやすいことからも荷重までの期間が長くかかります。

 

そのため、関節可動域に制限が生じたり、筋力の回復が大きく遅れる、また最悪の場合は歩行そのものが困難になる場合もあるのです。

(個人差があるので必ずしもそういうわけではなく、これらの後遺症がほとんど生じない人もいます)

 

よって、これらの期間はリハビリテーションによって早期より機能回復を目的とした運動療法などを行うことが望ましいと言えます。

 

TKA後のリハビリテーションはこちら!
【変形性膝関節症】TKA術後のリハビリテーションって何をするの?
人工膝関節全置換術(TKA)後の膝関節屈曲制限の因子とは?

 

 

まとめ

今回は、人工膝関節全置換術(TKA)後は特定の部位の骨折を生じやすい理由や、

その部位などについて解説しました。

 

TKA後の転倒などによって膝関節に過剰な外力が加わった場合、

人工関節そのものの破損ではなく、

大腿骨顆上部の骨折が生じやすいのです。

 

この部位は膝関節のすぐ直上ということもあり、

偽関節のリスクや、関節可動域制限などの後遺症が生じやすい部位でもあります。

 

そのため、早期からのリハビリテーションが重要とは言えますが、

何よりも転倒に気をつけ、転倒をしないだけの身体機能や生活習慣を身につけることの方がもっと重要であると思われます。

 

勘違いしてはいけないのは、

TKAをやることで骨折しやすくなるのではなく、TKAを行なっている場合はこの部位が骨折しやすいということです。

普通に転倒して膝関節に衝撃が加われば、膝関節内の骨折が生じますので。

(骨折が怖いからTKAをやらないという結論に至ることは間違いです。)


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