頚椎症性神経根症における徒手的検査法とは?
頚椎には、7つの椎骨があり、
それらの中央にある脊柱管内を「脊髄」が通過しています。
脊髄から分枝した神経は、
それぞれの支配領域である上下肢の運動や感覚を司りますが、
加齢などが原因となって、脊柱自体の変性が生じることで、
これらの神経が圧迫を受けます。
この疾患を「頚椎症」と言います。
「頚椎症」とは、
加齢などによって頚椎の椎間板や椎間関節などの変性により、
“脊髄や神経根などの圧迫を受け神経症状が出現した病態”のことを指します。
しかしながら、「頚椎症」はこれらの病態の総称であり、
狭義には、
脊髄の圧迫:頚椎症性脊髄症
神経根の圧迫:頚椎症性神経根症
と異なる名称が用いられます。
「頚椎症」に関する詳しい記事はこちら
→「頚椎症性神経根症」または「頚椎症性脊髄症」ってどんな病気?
これらの疾患の鑑別には、
【画像診断】が用いられます。
具体的には、
X線(レントゲン)で頚椎変化を見ることがありますが、X線では骨の滑りなどは見えても、狭窄や圧迫を確認することは困難です。
そのような場合は、【MRI】を用いて、脊髄や神経根の圧迫を診断することが可能です。
また、頚椎症性神経根症の場合、
神経根は、頚椎の椎間孔を通過するため、椎間孔に圧迫を加える徒手検査にて補助的な診断を行うことも可能です。
そこで今回は、頚椎症性神経根症における徒手的検査法について解説します。
Contents
頚椎症性神経根症における徒手的検査法とは?
頚椎症性神経根症における徒手的検査法には、
代表的な方法として、
・スパーリングテスト(Spurling Test)
・ジャクソンテスト(Jackson Test)
・ten second test
などが挙げられます。
スパーリングテスト(Spurling Test)
【目的】
頚椎神経根圧迫症状の有無を鑑別する。
【方法】
患者肢位:椅子に座り、頸部を症状の出ている側に側屈する。
検者操作:頭頂部に両手を置き、軸圧を加える。
【判定】
上肢に疼痛が誘発されたり、痺れの増強にて陽性と判断する。
ジャクソンテスト(Jackson Test)
【目的】
頚椎神経根刺激症状の有無を鑑別する。
【方法】
患者肢位:椅子に座り、頸部を後屈する。
検者操作:頭頂部に両手を置き、下方へ圧を加える。
【判定】
上肢に疼痛が誘発されたり、痺れの増強にて陽性と判断する。
ten second test
【目的】
上肢の巧緻性を評価する。
【方法】
患者肢位:両上肢を前方へ伸ばす。
検者操作:グーとパーを交互に繰り返し、10秒間で何回行えるかを指示する
【判定】
10秒間で20回以下の場合に巧緻性障害陽性と判断する。
※頚椎症のみならず、様々な疾患の評価にも応用可能
頚椎症に対する手術療法はこちら
→頚椎症性脊髄症に対する手術療法とは?
まとめ
今回は、頚椎症性神経根症における徒手的検査法について解説しました。
病院のように、MRIなどの高価な機器がないような治療院の場合、
症状からこれらの疾患を疑う場合、熟練が必要な手技と言えるでしょう。
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