前十字靭帯損傷における徒手的検査法とは?
前十字靭帯損傷は、膝関節に存在する前十字靭帯の損傷によって生じます。
スポーツ外傷の中でも比較的高頻度で生じる疾患として知られています。
そのため、多くが10代から20代の若者に多く、競技復帰が最大の目標となります。
前十字靭帯損傷は、
“前十字靭帯は、大腿骨後方から脛骨前方へ斜走する損傷の損傷”です。
その受傷機転は、スポーツによるものが多く、接触型と非接触型に分類されます。
前十字靭帯損傷に関する詳細な記事はこちら
→前十字靭帯損傷とは?受傷機転や症状、その治療方法は?
前十字靭帯損傷の臨床症状には、
疼痛や腫脹、関節可動域制限や歩行障害などが受傷早期より認められます。
急性期を過ぎても歩行可能な例が多いですが、「膝崩れ」と呼ばれる膝の不安定性が出現します。
このように日常生活が可能なため、放置してしまう例もありますが、合併症や後遺症などを併発する危険性もあるため注意が必要です。
スポーツなどで受傷した場合は、早期に受診が必要です。
その診断方法には、
・病歴
・MRIなどの画像診断
・関節鏡検査
などがあり、比較的容易に行うことができます。
それだけではなく、【徒手検査法】と呼ばれる診断方法もあります。
徒手検査法は、靭帯損傷における基本手技です。
特に、理学療法士など、治療に関わるものは熟練しておく必要があると言えるでしょう。
そこで今回は、前十字靭帯損傷における徒手的検査法について紹介します。
前十字靭帯損傷のリハビリテーションの記事はこちら
→前十字靭帯損傷の手術後のリハビリテーション方法は?
前十字靭帯損傷における徒手的検査法
前十字靭帯損傷における代表的な徒手的検査法は、以下の方法があります。
・anterior drawer test(前方引き出し兆候)
・Lachman test
・N-test
です。
それぞれの方法について解説します。
anterior drawer test(前方引き出し兆候)
anterior drawer testは日本名で「前方引き出し兆候」と言います。
方法は、
肢位:背臥位で股関節45°、膝関節90°の膝立て
操作:下腿を近位後方から脛骨顆部を前方に引き出す
注意点:ハムストリングスや周囲筋の収縮がなく緩んでいることを確認しながら行う)
前方に引き出されるようなら【陽性】と判断する。
Lachman test
方法は、
肢位:背臥位で膝関節は20°〜30°となるように股関節軽度外転位
操作:大腿遠位部を把持して、脛骨近位端を前方へ引き出す
前方に引き出されるようなら【陽性】と判断する。
※疼痛や筋の防御収縮も少ないため、anterior drawer testより信頼性は高い。
N-test
方法は、
肢位:背臥位で膝関節は60°屈曲位
操作:母指で腓骨頭を前方へ押し、下腿に内旋と、膝に外反を加えながら、膝を伸展させる
膝関節屈曲20°付近で脛骨の外側顆が前方に亜脱臼した場合【陽性】と判断する。
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→前十字靭帯損傷に対する手術療法!STG法やBTB法とは?
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まとめ
今回は、前十字靭帯損傷における徒手的検査法について紹介しました。
確定診断は、画像所見にて行われますが、徒手療法を行うものとして、症状の確認を行うためにも、習熟が必要な検査です。
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