後十字靭帯損傷とは?原因や症状、その治療法は?
後十字靭帯損傷は、前十字靭帯と交差するようにして存在する後十字靭帯の損傷です。
多くは、交通事故やスポーツ外傷によって受傷します。
受傷機転や症状、その治療法にはどんなものがあるのでしょうか。
後十字靭帯損傷は、
“大腿骨の後方から脛骨の前方へ付着する靭帯の損傷”です。
前十字靭帯とクロスするように存在し、いずれも膝関節の安定に寄与します。
後十字靭帯は、力学的に前十字靭帯の2倍の強度を誇るとされ、
ちょっとやそっとじゃ損傷は受けません。
その受傷機転となるのは、多くの場合、
・交通事故
・スポーツ外傷
だそうです。
前十字靭帯に関する記事はこちら
→前十字靭帯損傷とは?受傷機転や症状、その治療方法は?
後十字靭帯損傷後は、腫脹や疼痛などの症状を認め得ます。
急性期の症状が消失した後は、靭帯の機能の欠如から、膝の不安定性が生じますが、
多くの場合は、手術療法ではなく、
リハビリテーションによって回復を目指します。
前十字靭帯は手術療法が必要となります。
→前十字靭帯損傷に対する手術療法!STG法やBTB法とは?
前十字靭帯損傷に比べると低頻度の疾患ですが、
そこで今回は、後十字靭帯損傷の原因や症状、その治療法について解説します。
後十字靭帯損傷とは?
後十字靭帯損傷の解説の前に、
まずは、後十字靭帯について解説します。
後十字靭帯(Posterior Cruciate Ligament:PCL)は、
大腿骨顆間窩内側前方から起こり、後方に向かって脛骨顆間窩隆起の後方に付着します。
長さが約4cm、幅が1.5cmで太さが前十字靭帯の2倍であると同時に力学的強度も2倍となります。
そのため、完全断裂の頻度は低く、部分断裂となる場合が殆どです。
主な役割は、
・脛骨の後方移動の制限
・脛骨の内旋制動
受傷機転は?
力学的安定性が高い後十字靭帯ですが、その受傷機転はどのような原因があるのでしょうか!?
多くの場合は、
・交通事故
・スポーツ外傷
であると言われています。
まず交通事故ですが、「Dashboad Injury(ダッシュボード損傷)」が有名です。
膝関節が屈曲位の状態で脛骨粗面をダッシュボードに強打した際に、脛骨の後方移動によって受傷します。
また、スポーツなどでは、ラグビーなどでのタックルを受け、脛骨の後方移動とともに回旋が強制されることで受傷します。
症状は?
受傷したらどのような症状が出るのでしょうか!?
受傷早期には、関節内の血腫を認め、腫張や発赤、疼痛などの炎症所見が生じます。
特に、膝窩部の激痛や関節可動域制限などが目立った症状となります。
このため、歩行などの日常生活動作にも障害が発生します。
急性期を過ぎ、慢性期となるとほぼこれらの問題はなくなります。
歩くことも可能になります。
しかしながら、靭帯が損傷している状態では、不安定性が生じ、緩さを感じたりすることはあるでしょう。
また、背臥位で膝を立てた状態にすると、脛骨が後方に落ち込む現象を認めます。
これを後十字靭帯損傷の診断法として、「Grabity Test(重力テスト)」と呼ばれています。
治療は?
後十字靭帯損傷のほとんどは、手術をせずにリハビリテーションによって治療する場合が殆どです。
その理由として、
・大腿骨と脛骨の形状から、荷重時にも後方への不安定性が生じない
・後十字靭帯は関節包に近く、血行が豊富で修復しやすい
などが挙げられます。
これらが保存療法が適応となる理由です。
実際にリハビリテーションでは、疼痛や重症度などによって負荷量が決定されますが、
・関節可動域訓練
・筋力増強訓練
・荷重訓練
・スクワット、バランスボード
・競技特性に合わせたトレーニング
などを時期に合わせて行います。
スポーツ復帰が可能なのは、受傷後およそ4か月です。
後十字靭帯損傷のリハビリテーション
→後十字靭帯損傷の保存療法!リハビリテーションの方法は?
反対に、他の靭帯と複合的に損傷を受けた場合、
後十字靭帯と共に、合併した靭帯再建術を同時に行います。
損傷の激しい後十字靭帯を放置すると、半月板損傷や変形性膝関節症などを合併することがあるので注意が必要です。
まとめ
今回は、後十字靭帯損傷の原因や症状、その治療法について解説しました。
前十字靭帯とは一変して治療方法の中心は保存療法です。
競技復帰も比較的早く目指すことができますが、焦らずきちんと治し切ることが重要です。
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