腰部脊柱管狭窄症の分類やタイプは?
腰部脊柱管狭窄症は、脊髄の通り道である脊柱管の狭窄によって生じる疾患です。
60歳以上の高齢者に好発する退行性病変です。
下肢の痺れや感覚障害、運動麻痺などの症状を呈しますが、
実は、狭窄のタイプによってその症状も異なるのです。
腰部脊柱管狭窄症は、
“腰椎レベルの脊柱管が様々な原因で狭窄し、脊髄や神経根を圧迫することによって生じる疾患”です。
主に加齢に起因する椎体の脆弱性や、脊椎の滑り、黄色靭帯の肥厚が原因として考えられています。
腰部脊柱管狭窄症に関する記事はこちら
→腰部脊柱管狭窄症とは?原因や症状、その治療方法は?
脊柱管狭窄症には、特徴的な症状として、【間欠性跛行】があります。
間欠性跛行は、
「連続した立位や歩行を行った際に、下肢の痺れや痛みが強くなり、継続できなくなる症状です。しかしながら、腰掛けるなどの休息で軽快するのが特徴です。」
その他にも、
・下肢の痺れ
・下肢の感覚障害
・下肢筋の運動麻痺
・膀胱直腸障害
などの症状が生じることがあります。
これらの症状が必ずしも全ての患者に生じるわけではありません。
それは、狭窄された部位によって症状のタイプが異なるのです。
また、タイプごとにその治療法も異なるのです。
・馬尾型
・神経根型
・混合型
に分類されます。
今回は、腰部脊柱管狭窄症の分類やタイプについて解説します。
腰部脊柱管狭窄症の診断や好発部位はこちら
→腰部脊柱管狭窄症の好発部位や診断方法とは?
脊柱管狭窄症の3つのタイプ
脊柱管狭窄症には、狭窄された部位によって異なる症状が出る3つのタイプに分類されます。
・馬尾型
・神経根型
・混合型
内訳として、
馬尾型:14%
神経根型:70%
混合型:16%
となっており、圧倒的に神経根型が多い特徴があります。
以下にそれぞれの特徴を解説します。
馬尾型
馬尾とは、脊髄の下端に見られる脊髄神経の束ですが、ウマの尾のような形状をしています。
馬尾型の症状の特徴は、両側性であるという事ともに
【痺れ】が主症状です。
両下肢の痺れが広範囲に及び、間欠性跛行を認めます。
加えて、両下肢の運動麻痺なども生じます。
さらに、馬尾は、膀胱や直腸などの排泄機能に関係しており、膀胱直腸障害などを呈すことも少なくありません。
馬尾型のタイプに対しては、手術療法が第一選択になります。
腰部脊柱管狭窄症の手術療法はこちら
→腰部脊柱管狭窄症における手術療法の種類や方法とは?
神経根型
神経根とは、脊髄から下肢に向かって左右方向へ伸びていく神経束です。
神経根型の症状の特徴は、多くの場合、片側性であるという事ともに
【痛み】が主症状です。
腰を後ろに反らせるなどの運動で症状が悪化し、腰をかがめる方が楽になるのが特徴です。
神経根型は、少なからず自然治癒する症例も散見されます。
また、薬物療法やリハビリテーションで治癒する例も見られるため第一選択は【保存療法】が適応となる場合が多いです。
腰部脊柱管狭窄症の保存療法はこちら
→腰部脊柱管狭窄症のリハビリテーションの方法やポイントは?
→腰部脊柱管狭窄症に対するプロスタグランジン製剤(PG)の効果とは?
混合型
混合型とは、文字通り、上述した馬尾と神経根が同時に圧迫された状態です。
主な症状は【痛み】【痺れ】の両方です。
片側性の場合もあれば、両側性の場合もあり、2つのタイプの特性を持っています。
混合型の治療は、手術療法が第一選択となります。
腰部脊柱管狭窄症の手術療法はこちら
→腰部脊柱管狭窄症における手術療法の種類や方法とは?
まとめ
今回は、脊柱管狭窄症の分類やタイプについて解説しました。
一概に腰部脊柱管狭窄症と言っても色々な種類や症状があるのですね。
また、下肢の症状だけでなく、膀胱直腸障害は日常生活動作を妨げる要因でもあり、この障害の有無は非常に重要な因子となるようです。
スポンサーリンク