「ぎっくり腰」って何?その病態や症状とは?治療はできる?
「あイタたたたたたた」
重いものを持ったり、不意に変な姿勢を取った時に生じる急激な腰の痛み…
一般的には、「ぎっくり腰」と呼ばれています。
「ぎっくり腰」とは、
“急性に生じる腰部の疼痛”です。
重いものを持ったり、
変な姿勢を取ったりと、
その急激な発症と、ギクッとなる様から「ぎっくり腰」と呼ばれていますが、
実際にはそのような病名はなく、俗称となります。
正式には、
「急性腰痛症」と呼ばれます。
発症の機転や疼痛の程度が明確なことが特徴であり、
対照的な疾患として「慢性腰痛症」があります。
(慢性腰痛症は明確な発症機転が分からず、なかなか痛みが消失しないもの)
一概に急性腰痛症、いわゆる「ぎっくり腰」といっても、
急性に生じた腰痛の総称であることから、
その発症機転や、病態は様々です。
今回は、「ぎっくり腰」の病態や症状、その治療などに関して解説します。
「ぎっくり腰」の病態とは?
「ぎっくり腰」とは、
急性に生じる腰痛の総称で、正式には「急性腰痛症」と言います。
明らかな発症機転があり(いつ・どこで・どんなふうになどの説明が可能)、
急性の炎症が生じることや、多くは短期間で改善するものを指します。
しかしながら、必ずしもすべてのぎっくり腰が同じ部位の、
そして同じような原因で生じているわけではありません。
ぎっくり腰には、
具体的に以下のような病態があります。
【筋・筋膜に由来するもの】
腰部に存在する筋肉や靭帯、関節包などが、急激に伸長されたり断裂することで生じます。
力強い動きが要求された場合に、生じることがあります。
【椎間板に由来するもの】
ヘルニアに代表されるように、椎間板内の髄核が飛び出し、
脊髄などの神経を圧迫することで生じます。
【椎間関節に由来するもの】
椎間板とは異なり、脊椎同士の関節が衝突することで生じます。
過剰な可動域を要求された場合などにも生じることがあります。
関節の捻挫とも呼ばれています。
【腰椎圧迫骨折】
腰椎の骨折であり、これ自体で一つの疾患を指します。
広義の急性腰痛症の一つです。
詳しくはこちら
→腰椎圧迫骨折とは?原因や症状、治療方針は?
→腰椎圧迫骨折の保存療法!コルセットの効果とは?
「ぎっくり腰」の症状とは?
ぎっくり腰の症状は、
当然ながら“疼痛”です。
その中でも、どういった場合にその疼痛が生じるかによって、
ある程度の病態の鑑別も可能なことがあります。
例えば、
・何もしていなければ痛くないが、腰を反ったり横に曲げると痛い=椎間関節に由来するもの
・何もしてなくても始終痛い=腰椎圧迫骨折
・力を入れると痛い=筋・筋膜に由来するもの
などです。
注意が必要なのは、
そのような痛みが出たら必ず、原因が分かるというわけではなく、
中には癌が生じていたり、腎梗塞や総胆管結石など、重篤で危険な疾患が隠れていることもあります。
正確には、CTやMRIなどによって鑑別診断が必要です。
「ぎっくり腰」は治る?その治療法は?
ぎっくり腰は治ります。
数日または数週間で治るものです。
ただし、重要なのは治りを促進できるか、
反対に悪化させて長引かせてしまうかどうかです。
基本的に急性に生じる疼痛などの炎症症状は“安静”にすることが重要です。
無理に運動したり(大抵できない)、マッサージをすることはかえって危険です。
炎症に対しては、アイスパックや保冷剤などを用いて冷却を行い、
安静にします。
もちろん整形外科などを受診することが重要で、
ブロック注射や投薬によって疼痛の緩和を図ります。
数日経過し、徐々に疼痛が軽快するようであれば、
疼痛が生じない範囲で運動を開始しても良いです。
もちろん、脊柱の可動性が乏しい、姿勢が悪いなどのぎっくり腰を生じやすい要因を有している場合は、
再発予防に向けてそれらに対する治療なども必要となるでしょう。
まとめ
今回は、「ぎっくり腰」の病態や症状、その治療などに関して解説しました。
腰痛の代表格とも言える「ぎっくり腰」は、
その病態によって、障害の程度も様々です。
生じた原因を正しく分析し、対策を講じなければ何度も繰り返してしまうことは容易に想像できることでしょう。
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