難病指定疾患である「強直性脊椎炎」ってどんな病気?
「強直性脊椎炎」は、
我が国において“難病指定”を受けている疾患です。
比較的稀な疾患ではありますが、
脊椎の強直に伴い、日常生活動作にも多くの支障をきたす疾患なのです。
「強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis:AS)」は、
“脊椎(背骨)が連続的に強直(癒合)する疾患”です。
脊柱に限らず、股関節や肩関節などにも炎症が起こる疾患として”脊椎関節炎”がありますが、
その中の一つとして「強直性脊椎炎」が存在します。
“強直”とは、
固まってつながることで、脊椎一つ一つが癒合し、固まってしまいます。
そのため、徐々に脊椎の可動性が低下し、日常生活にも支障をきたすようになります。
さらに、症状に波があるのも特徴であり、
日によっては激痛が生じることもあります。
今回は、難病に指定されている「強直性脊椎炎」について、
その原因や症状、治療法などについて解説します。
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「強直性脊椎炎」の疫学は?
「強直性脊椎炎」の発症率は人種によって異なります。
白人では0.5%とされていますが、日本人においてはその10分の1以下である0.007~0.04%と言われています。
(ドイツでは1%と高率に認められる)
また、男女比では12:1で圧倒的に男性に多いのも特徴です。
年齢は、10歳〜35歳までに好発し、40歳以上での発症は稀であると言われています。
「強直性脊椎炎」の原因は?
「強直性脊椎炎」の原因は、
はっきりとしたことは分かっていないのが現状です。
しかしながら、ヒト白血球抗原HLAの特定の遺伝子型である「HLA-B27」との関連性が指摘されています。
罹患患者において、この「HLA-B27」陽性の人が80%以上の高率で認められることから、何らかの関連があるのではないかと言われています。
人種間での違いや、家族内発症を認めることもあるそうですが、
“遺伝”する病気ではないそうです。
「強直性脊椎炎」の症状は?
「強直性脊椎炎」の症状は多岐に渡ります。
まず、全身に生じる症状として、
・体重減少
・食欲不振
・疲労感
・貧血
などが挙げられますが、これだけでは強直性脊椎炎を疑うことは難しいです。
特徴的な症状としては、
突然発症する“腰背部痛”であり、
症状の波があることや軽い運動で改善することです。
さらに、脊椎に近い股関節や肩関節、胸郭などの運動制限や痛みも生じ、
このような関節症状の進行は、最終的に”強直”となり、前屈動作を始め様々な動作の制限が生じます。
次第に、骨自体が脆弱化し「骨粗鬆症」へ発展します。
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「強直性脊椎炎」の治療は?
「強直性脊椎炎」の治療法として、
現在までに根治的な治療法はありません。
ただし、薬物療法によってある程度の症状の緩和が図れることが示されています。
そのため、2010年より、日本においても強直性脊椎炎に対するTNF阻害薬と呼ばれる注射製剤が保険適応となりました。
薬物療法の中心は、消炎鎮痛である“非ステロイド性抗炎症薬”が用いられます。
このような炎症に対する治療に加えて、
関節症状による変形に対して“骨きり術”などの外科的治療が行われることがあります。
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→難病指定「強直性脊椎炎」に対するリハビリテーションとは?
まとめ
今回は、難病に指定されている「強直性脊椎炎」について、その原因や症状、治療法などについて解説しました。
脊椎の疾患は多岐にわたり、
症状の出始めは「ただの腰痛だろう…」と軽視しがちです。
異変に気がついたら早めに専門医を受診することが重要です。
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