「大腿骨骨幹部骨折」のリハビリテーションとは?
“大腿骨骨幹部”とは、
大腿骨の中でも中央部分に相当します。
人体の中で最長で、かつ強固な強度を誇ります。
多くの場合に、手術療法が適応となり、
機能回復には【リハビリテーション】が重要となります。
「大腿骨骨幹部骨折」とは、
大腿骨の骨幹部の骨折です。
若年者においては、
交通事故や高所からの転落などが受傷機転となりますが、
高齢者では、
転倒による軽微な外傷にも注意が必要です。
外科的治療として、「手術療法」が一般的であり、
最近では“髄内釘“を用いた方法が多用されています。
術後早期から、大腿四頭筋などの筋収縮を促し、
骨折部の腫脹の軽減や癒着の防止を図ることが、
良好な関節可動域や歩行を再獲得するために重要となります。
そこで今回は、これらの機能改善を促す
【リハビリテーション】について解説します。
Contents
「大腿骨骨幹部骨折」に対するリハビリテーションとは?
大腿骨骨幹部骨折の手術後に対するリハビリテーションでは、
・手術侵襲によって生じた炎症の鎮静
・良好な関節可動域の確保
・良好な筋力の回復
・歩行を始めとした日常生活動作の改善
などが挙げられます。
手術侵襲によって生じた炎症の鎮静
手術後は、その侵襲によって、
大腿部から膝関節にかけて“疼痛”や“腫脹”、“熱感”などの
基本的な炎症症状が生じます。
これらに対して、
・アイシング
・挙上
・弾性包帯による圧迫
などによって炎症の鎮静を図ります。
これらの炎症の遷延化は、
膝関節周囲の関節可動域制限や筋力低下を招く要因となります。
良好な関節可動域の確保
手術後は、前述した炎症症状に加えて、
大腿直筋のスパズムや、過緊張によって、
膝関節の“屈曲制限”をきたしやすいです。
炎症に対する治療に加えて、
“膝蓋上嚢の滑走性の維持”や、
“膝蓋骨の可動性維持”を図る必要があります。
また、技術的にも大腿直筋などの過緊張を抑制しながら、
関節可動域訓練を行うことが重要です。
良好な筋力の回復
術後は、炎症症状を始めとして、
“大腿直筋”を始めとした筋出力抑制が生じやすいです。
そのため、伸展可動域はあるのに、
自動運動で動かせないといった「エクステンションラグ」が生じやすいです。
大腿四頭筋の収縮を早期から賦活することは、
骨折部の腫脹の軽減や癒着の防止を図ることが、
良好な関節可動域、さらには歩行の獲得に対して有効な手段です。
→エクステンションラグとは?その原因は?
→エクステンションラグの改善方法とは?
歩行を始めとした日常生活動作の改善
術後早期より、
松葉杖を用いた免荷歩行が可能となりますが、
荷重に関しては、ある程度の時期まで制限されます。
骨折の程度にもよりますが、
おおよそ3週〜6週程度で、かつ骨癒合を確認できた場合に、
部分荷重訓練から開始されます。
化骨の形成に応じて荷重量を増加し、
次第に全荷重歩行が許可されます。
まとめ
今回は、大腿骨骨幹部骨折の【リハビリテーション】について解説しました。
免荷または、部分荷重期間が長期に渡ることから、
入院期間もそれなりに長期となることを覚悟しなければなりません。
その中でも、膝関節の関節可動域をきちんと確保することは、
日常生活動作を獲得する上で非常に重要なポイントとなります。
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