骨盤骨折とは?原因や症状、治療法は?入院期間はどれくらい?
「骨盤骨折」は、
下肢と体幹とをつなぐ、“土台”の役目を果たす骨盤の骨折です。
重症度にもよりますが、
受傷機転には強い外力が加わることが多い為、
日常生活動作が高度に制限されます。
“骨盤”は、
上半身を支える土台であるとともに、股関節を介して下肢と連結します。
骨盤周囲には、筋肉だけでなく神経や血管などが通過する
重要な部位となります。
「骨盤骨折」の受傷機転の多くは、
“交通事故”または、“転落”などの外傷です。
これらの2要因が受傷の90%程度を占めています。
受傷後は、激しい疼痛が生じます。
どのような姿勢になろうとも、骨盤には負荷がかかる為、
“ほとんど動けない”
なんて状態も珍しくありません。
そんな骨盤骨折には、どのような治療法があるのでしょうか??
骨盤骨折の原因や症状を詳しく見ながら、その治療法などを解説します。
「骨盤骨折」とは?
骨盤の構造は以下のようになります。
骨盤骨折には、大きく分けて
・寛骨臼骨折
・骨盤輪骨折
に大別されます。
寛骨臼骨折は、股関節の節内骨折であり、
骨盤輪骨折は、寛骨臼を除いた部分の骨折となります。
その中でも、
「腸骨翼骨折」「恥骨骨折」「坐骨骨折」を安定型、
「腸骨骨折」「仙骨骨折」「船長関節離開」を不安定型に分類しています。
※安定型はズレにくく、不安定型はずれる可能性がある。
骨盤骨折の原因は?
骨盤骨折は、多くの場合高エネルギーが加わることで受傷します。
具体的には、
・交通事故
・高所からの転倒
です。
交通事故に関しては、車にはねられるだけでなく、
運転中の接触事故で、勢いよく膝がダッシュボードに衝突し、
大腿骨頭が骨盤を突き破る“ダッシュボード損傷”が有名です。
なお、骨粗鬆症などを有する高齢者の場合は、
軽微な転倒でも受傷することがあります。
骨盤骨折の症状は?
骨盤骨折の症状は、
“激しい疼痛”です。
どのような姿勢になっても骨盤への荷重負荷が加わり、
全く動けなくなることもあります。
また、骨盤内には、血管や神経が多数通過しており、
これらの損傷を受けると、
・下肢の運動麻痺
・膀胱や尿道損傷
・骨盤内大量出血
などなど、重篤が合併症が生じることがあるため、
緊急の処置を要すこともあります。
骨盤骨折の治療は?
骨盤骨折の治療は重症度やタイプによって異なります。
前述した“安定型”では、骨盤は靭帯で補強されていることから
骨のズレが生じづらく、【保存療法】が適応となります。
この場合は、緊急の対応が必要なく、
骨の癒合を待ちながら投薬とともにリハビリテーションを開始します。
一方で、“不安定型”の場合には、
骨盤のズレや、それに伴う血管や神経損傷の恐れ、
さらには大量出血などのリスクがあることから、
場合によっては【手術療法】が適応となります。
より確実な固定が得られる創外固定、
またはスクリューやプレートなどを用いた内固定
が選択されます。
骨盤骨折の入院期間は?
骨盤骨折の重傷度や治療方法により差があり、
一概には言えません。
ただ、保存療法に比べて手術療法の方が立位や歩行などへの
移行が早期であるため、
合併症や著明な疼痛などがなければ回復は早いかもしれません。
つまりは、疼痛なく起きて、さらには歩くことが出来るまでの期間が短ければ短いほど、
入院期間も短くなると言えるでしょう。
まとめ
今回は、骨盤骨折の原因や症状、その治療法や入院期間などをまとめました。
保存療法においても手術療法においても、
確実な整復や癒合が起こらなければ、その後の生活の中で
二次的な障害が生じることも少なくありません。
特に股関節周囲の骨折の場合には、
“変形性股関節症”などにも注意が必要です。
→変形性股関節症って治るの?原因や症状、治療方法とは?
→変形性股関節症の手術療法とは?どんな種類や方法がある?
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