術後は「貧血」に注意!その原因や注意すべき検査所見とは?
整形外科の手術後の合併症の一つに、
「術後貧血」があります。
術前には、何度も採血を行ったり、
術中または術後に使用する“自己血”を採取することがあります。
これらは、いずれも”術後の貧血”に向けた対策の一つです。
整形外科に限らず、どのような手術においても、
術前と術後には採血を行い、“血液検査”をしています。
手術では、その程度に差はあれど、
身体にメスを入れるため、術中や術後に出血をきたすのです。
整形外科疾患で考えると、
人工関節や、固定術など、骨切りを行った後には、
手術中はもちろんのこと、術後にも断続的な出血をきたしているのです。
このような断続的な出血が続いてしまうと、
血液に含まれる赤血球が減少します。
この赤血中の減少によって、術後の貧血が引き起こされるのです。
そこで今回は、術後に生じる「貧血」の基礎知識や注意すべき検査所見などについて解説します。
整形外科で行われる代表的な手術療法はこちら
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「貧血」って何?原因や症状は?
「貧血」とは、
“血液中の赤血球の数や、酸素を運搬するヘモグロビンの量が少ない状態”です。
ヘモグロビンは赤血球の中に含まれており、
血液の減少は、赤血球の減少、つまりはヘモグロビンが減少するため、
酸素の運搬が全身に十分に行われなくなります。
術後に生じる「貧血」の原因は、
“大量の失血”によるものです。
これは、手術中はもちろんのこと、
手術後も持続的に出血が続いている場合もあります。
「貧血」の状態が続くと、
めまいや立ちくらみ、労作時の息切れや動悸や倦怠感などが生じます。
そのため、リハビリテーションなども円滑に進行出来ない場合もあります。
術後の「貧血」で注意すべき検査所見とは?
術前はもとより、術後も1週間おきなどに、
“血液検査”を行うことが一般的です。
血液検査から、「貧血」の所見を疑うには、
“ヘモグロビン(Hb)”の値を確認する必要があります。
ヘモグロビンは、赤血球の中に含まれ、全身に酸素を供給する役割を担います。
ヘモグロビンの正常値は、
男性:13〜17g/dl
女性:12〜15g/dl
です。
この正常値を大きく下回るようであれば注意が必要です。
下肢の手術後に必要なその他の検査所見はこちら
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術後の「貧血」に対する治療法とは?
術後に生じる「貧血」はおよそ10人に1人程度が生じるとも言われます。
ヘモグロビンの値が6〜8g/dl程度になった場合には注意が必要です。
そのような場合には、
手術前に備えていた「自己血」を輸血します。
通常片足の手術の場合には、400mlを、
両側の足の手術の場合には、800mlの血液が必要となります。
まとめ
今回は、術後に生じる「貧血」の基礎知識や注意すべき検査所見などについて解説しました。
術後のリハビリテーションなどで、
疲れやすい、顔色が悪い、息切れをしているなどなど…
比較的外部からも分りやすい兆候を示すので、
そのようなサインを見逃すことなく、輸血などの適切な対応に切り替えられると良いですね。
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