膝蓋骨骨折の保存療法に対するリハビリテーション方法は?
膝蓋骨とは、
膝の前面にある骨です。
一般には、「膝のお皿」として知られていますね。
膝蓋骨の骨折は、軽症であれば手術はせず、
保存的な治療によって完治することが可能です。
「膝蓋骨」は、
膝の前面にある骨で、膝のお皿とも呼ばれていますね。
膝蓋骨は、上端に「大腿四頭筋」が付着しており、
膝関節で支点となって、
大腿四頭筋の膝関節伸展活動を補助するために重要な役割を果たします。
膝蓋骨の骨折は、
・直達外力
・介達外力
によって生じます。
直達外力は、交通事故や転倒などによる強力な外力が機転となります。
一方で、介達外力は、大腿四頭筋の牽引力によって骨折の機転となります。
詳しくはこちら
→膝蓋骨骨折とは?原因や症状、その治療方法は?
膝蓋骨骨折に対する治療方法は、
・保存療法
・手術療法
に大別されます。
大雑把に言うと、
転位がなく、膝関節の伸展機構に破錠がない例に対して、
保存療法が適応となります。
一般に予後は良いと言われていますが、
関節可動域制限や疼痛などの後遺症を残しやすいことも事実です。
これらを生じさせないためにも、受傷早期からの
【リハビリテーション】が重要となります。
そこで今回は、膝蓋骨骨折の保存療法に対するリハビリテーション方法について解説します。
膝蓋骨骨折の保存療法の適応は?
膝蓋骨骨折に対する治療方法の選択として重要となるのは、
・膝関節伸展機構の破錠がないか
・転位はないか
の2点になります。
通常転位のない骨折とは、
「3mm以下の骨折転位及び2mm以下の関節面の段差」
と定義されています。
つまりこれらの条件を満たしている場合に保存療法が適応となります。
また、骨折の型も保存療法か手術療法かを分けるポイントとなります。
骨折の型に対する詳しい解説はこちら
→「膝蓋骨骨折」骨折型の分類とは?
一般に横骨折の場合は、保存療法を、
粉砕骨折の場合は、手術療法が選択される場合が多いです。
膝蓋骨骨折に対する手術はこちら
→膝蓋骨骨折に対する手術療法とは?どんな方法がある?
保存療法におけるリハビリテーション方法とは?
膝蓋骨骨折に対する
リハビリテーションにおける治療目標は、
1.疼痛
2.関節可動域制限
3.大腿四頭筋の筋力低下
これらを生じさせないことです。
言い換えれば、これらの点は後遺症として残りやすいということです。
保存療法を行う上での注意点は、
骨折部の転位を助長しないように進めることです。
特に大腿四頭筋による強力な牽引力は避けなければならず、
荷重位での膝関節の屈曲だけでなく、
自動運動における膝関節の屈曲に至るまで、
早期は膝蓋骨に作用する離開ストレスを極力軽減した中で実施します。
具体的には、「ニーブレース」と呼ばれる膝伸展固定用の装具が適応となります。
リハビリテーションの実際
では、実際に行うリハビリテーションでは、どの時期にどのようなことをするのでしょうか!?
保存療法では、前述の通り、ニーブレースなどによる膝関節伸展位での固定が原則となります。
おおよそ4週間程度が目安となり、
この期間は、関節運動や荷重訓練は行わず、足関節や股関節などの隣接関節の筋力増強に努めます。
4週以降、徐々に関節可動域訓練や荷重訓練を開始します。
関節可動域訓練は、0〜60°までのように最初からフルレンジでなく、徐々に進めていきます。
荷重訓練は、ニーブレースを装着している中で、伸展位での荷重が許可されます。
また、SLRなどを利用した大腿四頭筋の強化は積極的に行いましょう。
6週〜8週ごとになると、
関節可動域訓練も疼痛に合わせて最大レンジまで行います。
また、荷重訓練もニーブレースをオフにして荷重訓練や歩行訓練を進めます。
筋力訓練に関しても継続して大腿四頭筋の強化に努めましょう。
保存療法が選択されるということは、
もともと重症度が低く、軽症である場合が多いので、比較的予後は良好と言えるでしょう。
多くの患者が、正座程度の関節可動域の獲得が可能であり、
術前同様の歩行能力まで回復できる場合が殆どです。
手術後のリハビリテーションはこちら
→膝蓋骨骨折に対する手術療法後のリハビリテーションとは?
まとめ
今回は、膝蓋骨骨折の保存療法に対するリハビリテーション方法について解説しました。
一例として、リハビリテーションの実際の方法を紹介しました。
実際には、症状の程度や医師の方針によって荷重時期や強度も異なるので、必ず確認する必要があります。
参考になれば幸いです。
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