上腕骨近位端(外科頸)骨折とは?原因や症状、治療方法は?
「上腕骨」とは、
いわゆる二の腕に相当する部分の骨です。
転倒などにより、
肩や上腕を直接強打することによって、
【上腕骨近位端骨折】を受傷することがあります。
【上腕骨近位端骨折】は、
上腕の中でも、より上部(近位)に相当し、
上腕骨頭のすぐ下の「頸(くび)」の部分であることから、
「上腕骨外科頸骨折」とも呼ばれています。
上腕骨近位端骨折は、
主に、転倒などにより、肩や上腕を直接強打すること、
もしくは、上肢を伸展した状態で床につくことで受傷します。
床につく手のつき方でも骨折の方が変わり、
「外転型」もしくは「内転型」に分類されます。
上腕骨近位端骨折は、
高齢者に多く発生し、
全骨折中の約5%を占めると言われています。
受傷者の70%以上が骨粗鬆症を伴う高齢者であり、
その男女比は1:3で女性に頻発します。
上腕骨近位端骨折をはじめとして、
大腿骨頸部骨折・橈骨遠位端骨折・脊椎圧迫骨折は、
高齢者に好発する【四大骨折】とも呼ばれています。
受傷者のおおよそ80%程度が、
転位が軽微であり【保存療法】が適応となります。
一方で20%は、転位が著明な骨頭部の関節内骨折となるため、
偽関節そして変形治癒のリスクから難治性とされ、
【手術療法】の適応となることがあります。
今回は、上腕骨近位端骨折の原因や症状、そして治療方法などについて詳しく解説します。
上腕骨近位端骨折の原因は?
上腕骨遠位端とは、
上腕骨の中でも肩関節に近い部分です。
上腕骨近位端骨折は、
高齢者の【転倒】による受傷が大部分を占めます。
転倒に際して、上肢を伸展位で床につくことで損傷を受けるのです。
大部分は、骨粗鬆症などの基礎疾患を有している場合が多く、
同じような受傷機転の骨折に、【橈骨遠位端骨折】があります。
→橈骨遠位端骨折とは?受傷機転や治療方法は?
→橈骨遠位端骨折に対する手術後のリハビリテーションとは?
高齢者のみならず、若年者においても
スポーツや交通事故などによる強い外力で受傷することがあります。
上腕骨近位端骨折の症状は?
受傷直後より、炎症症状が出現します。
強い【疼痛】はもちろんのこと、腫脹や皮下出血などを生じます。
この皮下出血は、重力の影響で徐々に下に落ちてくるので、
あたかも上腕骨の骨幹部の骨折のように思えますが、
実際には、腕の付け根である
「上腕骨近位端」を骨折している場合が多いです。
上腕骨近位端骨折の治療方法は?
受傷者のおおよそ80%程度が、転位が軽微であるため、
【保存療法】が適応となります。
骨癒合が得られやすく、比較的予後も良好とされています。
三角布などで固定し、バストバンドを用いて体幹に固定します。
安静にする中でも、手指や肘の運動を行います。
固定除去後は、肩関節も含めた積極的なリハビリテーションを実施します。
→上腕骨近位端骨折に対する手術療法やリハビリテーションとは?
一方で20%に当たる受傷は、転位が著明な骨頭部の関節内骨折となるため、
偽関節そして変形治癒のリスクから難治性とされています。
このような場合には、【手術療法】の適応となることがあります。
手術の適応は、Neer分類などに沿って決定されます。
手術方法は、以前は鋼線などを用いる方法が主流でしたが、
近年は、新しい固定材料である髄内釘固定法やプレート固定法が行われます。
脱臼骨折の場合には、人工骨頭置換術が行われる場合もあります。
肩関節周囲炎にも代表されるように、
肩関節は拘縮を引き起こしやすい関節です。
保存療法、手術療法いずれの場合でも、
リハビリテーションによる肩の可動域の獲得や筋力の強化による機能改善は必須と言えます。
→上腕骨近位端骨折に対する手術療法やリハビリテーションとは?
まとめ
今回は、上腕骨近位端骨折の原因や症状、そして治療方法などについて詳しく解説しました。
高齢者に頻発する骨折であり、軽微な骨折でも油断は禁物です。
転んだ後に腕が上がらないなどの症状を呈すようでしたら、
迷わず受診することをお勧めします。
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