「胸郭出口症候群」の分類とは?それぞれの特徴は?
手や腕の痺れ、または疼痛が出現してきたら、
「胸郭出口症候群」を疑いましょう。
ただ、一概に胸郭出口症候群といっても、
その病態は様々であり、いくつかに分類されます。
「胸郭出口症候群」とは、
“胸郭の出口付近で神経や血管の圧迫によって生じる疾患の総称”
です。
20歳代の”なで肩”の女性に好発するとされています。
主な症状は、
手指や上肢に生じる痺れや疼痛であり、
重症化すると、熱感や冷感などの障害や握力の低下などの運動障害まで生じるのです。
詳しくはこちら
→「胸郭出口症候群」とは?原因や症状、治療法とは?
「胸郭出口症候群」は、
神経や血管が圧迫される部位によって、
それぞれ異なる病態を呈し、
その症状なども異なるのです。
「胸郭出口症候群」は、大きく分けて以下の4つに分類されます。
・斜角筋症候群
・頚肋症候群
・肋鎖症候群
・過外転症候群
今回は、「胸郭出口症候群」の4つの病態をそれぞれ解説します。
「胸郭出口症候群」の診断はこちら
→「胸郭出口症候群」の診断方法や徒手検査方法とは?
斜角筋症候群
斜角筋症候群(しゃかくきんしょうこうぐん)とは、
“前斜角筋と中斜角筋によって、鎖骨下動脈と腕神経叢が圧迫されることで生じる神経症状”
です。
頻繁に行われる上肢の挙上や過活動による同筋の肥厚や過緊張が原因となります。
その症状は、肩から上肢にかけて生じる、
痺れなどの感覚障害や、レイノー現象や皮膚温の低下などの血行障害が生じます。
※レイノー現象:寒冷時に生じる手や足の指先の冷感や皮膚色の変化
頚肋症候群
頚肋症候群(けいろくしょうこうぐん)とは、
“「頚肋骨」が存在することで引き起こされる一連の症状群”
のことを言います。
通常肋骨は左右12本ですが、
稀に先天的に頸部から先の尖った「頚肋」という骨が存在する場合があります。
人口比にするとわずか0.5%程度の割合だそうです。
頚肋症候群は、この「頚肋」によって、
鎖骨下動脈や腕部神経叢を圧迫することが原因となります。
その症状は、手の痺れや痛みを生じるのですが、
いずれも小指側に出現するのが特徴です。
また、レイノー現象や運動麻痺、
さらに重症となると、
脊髄伝導路に障害が及ぶこともあるそうで、
・眼瞼下垂
・縮瞳
・眼球陥没
などが出現することもあるようです。
肋鎖症候群
肋鎖症候群(ろくさしょうこうぐん)とは、
“第一肋骨と、鎖骨の間で鎖骨下動脈や腕神経叢が圧迫されることによって生じる症状群”
です。
一般に”胸郭出口”というとこの部分を指し、
「胸郭出口症候群」の中でも最も多い病態です。
“なで肩”の女性はもちろんのこと、
重い荷物を肩に背負っていたり、鎖骨や肋骨の骨折後の変位などによって生じます。
主な症状は、
肩や上肢、手などに生じる疼痛や痺れです。
過外転症候群
過外転症候群(かがいてんしょうこうぐん)とは、
“小胸筋の下で神経や血管が圧迫されることによって生じる疾患群”
です。
別名「小胸筋症候群」とも言われます。
小胸筋が過緊張を生じると、
腕神経や動脈を圧迫してしまい症状が出現するのです。
病名のように“過外転”とは、肩甲骨の外転運動のことであり、
上肢の挙上や重い荷物の持ち上げなどを繰り返すことで生じます。
過外転症候群の症状は、
上肢や手部に生じる痺れや疼痛です。
まとめ
今回は、「胸郭出口症候群」の4つの病態をそれぞれについて解説しました。
各病態に異なる神経や血管の圧迫が生じており、
当然のことながらその治療方法なども異なります。
治療者においては、「胸郭出口症候群」と一括りにするのではなく、
それぞれの病態をきちんと評価できることが重要です。
「胸郭出口症候群」に対するリハビリテーションはこちら
→「胸郭出口症候群」に対するリハビリテーションとは?
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