「入院すると痛みが取れる」という誤解!一体どういうこと?
「入院すると痛みが取れる」
何を当たり前のことを…
といったタイトルですが、勘違いしないでください。
治療をしなくても痛みが取れるという意味です。
「入院すると痛みが取れる」
一体なんのことを言っているのでしょう?
そもそも病院は、
治療をするための場所なんだから痛みは取れるだろう!
これは当たり前のことですが、
私が言いたいのは治療をしなくても痛みが取れるということです。
こと整形外科疾患、
とりわけ骨・関節系疾患に至っての話です。
中には人工関節等の手術を控えているのに、
痛みなくなってきたから「やらなくても良いかも…」なんて手術の前日に言う人や、
実際に「手術はやめよう」と決断して退院してしまう人も稀に存在します。
「入院すると痛みが取れる」
これは一体どういうことなのでしょうか?
関節系疾患の痛みの原因とは?
変形性関節症に代表される骨・関節系疾患は、
慢性の経過を辿り、基本的には完治することはありません。
変形性股関節症・変形性膝関節症など、
高齢者において多くの患者を有するこれらの疾患の主要な症状は、
荷重時痛
が挙げられます。
これは、歩行や階段昇降における関節の疼痛のことを指し、
強い痛みによって日常生活動作の低下や、生活の質(Quality Of Life:QOL)の低下が挙げられます。
ただし、疾患そのものの完治や回復はないにせよ、
重症度によって症状の悪化や寛解を認め、時期によっても全く痛くなくなったと感じる人も少なくありません。
また、荷重時に疼痛が生じると言うことは、
荷重そのものを繰り返すことで疼痛を惹起し、物理的な関節への衝撃は疾患そのものを悪化させることにつながります。
つまり、歩けば歩くほど症状が再燃するのです。
(正しい歩き方や、適切な頻度や強度によっては改善へ向かう場合もあります)
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「入院すると痛みが取れる」その意味とは?
では、「入院をすると痛みが取れる」とは一体どう言うことなのでしょうか?
入院経験がある人はご存知かと思いますが、
基本的に病院はリスクが生じることを嫌い、かつ症状を悪化もさせたくありません。
骨・関節系疾患の場合は、
疼痛などに起因するバランス不良によって転倒されて怪我でもされたらそれこそ病院の責任問題です。
よって、病棟内の移動は車椅子を使用するか、もしくは歩行器などの補助具を利用して必要最低限の移動(食事やトイレetc…)に制限されます。
つまり、今まで生活の中で酷使(家事をしたり買い物をしてたくさん歩いて荷重してきた)してきたものが、
入院することで一気に負荷が軽くなるのです。
いくら病院内で動くと言っても、普段の生活の活動量を上回ることはそうないでしょう。
そのため、荷重によって疼痛を惹起していた関節も不動によって一時的に痛みが寛解することが多々あるのです。
「足が良くなったわ」
「リハビリの成果だわ」
確かにリハビリなどの効果はあるでしょう。
ただし、リハビリなのか、不動によるものなのかは正しく判断しないといけません。
(例えば、これまでの活動量と同じことをしても痛みが生じないならリハビリの効果は大きいでしょう)
つまり、不動が招く一時的な症状の寛解が病院に入院することで生じるのです。
まとめ
今回は、「入院すると痛みが取れる」という誤解!
これは一体どう言うことなのかを解説しました。
正しくは、
入院することによって相対的に不動状態となることが多く、今まで酷使されていた荷重関節が負荷から解放され、一時的に疼痛を主症状とする症状が寛解する
と言うことになります。
これは、変形性関節症だけでなく、間欠性跛行を特徴とする脊柱管狭窄症なども同様です。
一時的な症状の寛解に騙されることなく、しっかりと自身の病態を判断することが自己管理の第一歩かと思います。
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