人工膝関節全置換術(TKA)後のCPMって効果がある?有効な角度設定は?

    
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人工膝関節全置換術(TKA)を経験した人はご存知かと思いますが、

術後は関節可動域の改善のためにCPMという機械での運動を行います。

 

「とにかく痛い」

と思いながら使用している人まで多いかと思いますがそもそも効果があるのでしょうか?

 

変形性膝関節症の手術療法「TKA」とは?他にも手術の種類があるの?

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CPM“continuous passive motion”の略であり、

持続的他動運動と訳されます。

 

TKA施行後の膝は創部の疼痛や、術前からの筋肉の短縮(伸長性の低下)が原因となり硬くなりやすいです。

日常生活で不自由なく膝関節を使うためには、出来る限り曲げる必要があり、

理学療法士などによるリハビリテーションにおいても膝の曲がりは重要な課題となります。

 

ただ、多くの病院ではリハビリテーションの時間以外でも膝の可動域訓練のためにCPMを使用するのです。

CPMは機械で行うため、一度セットすれば人件費も要さず、設定角度まで曲げてくれるので効率は良いです。

 

ただし、機械には心がありません!

痛い角度までグッと曲げてくるのです。

 

患者はただただ痛みに耐えて頑張る。

という光景をたびたび目にしますが、実際のところCPMって効果があるのでしょうか?

CPMって効果があるの?

変形性膝関節症における理学療法診療ガイドライン2011によると、

 

術後短期的使用:推奨グレード B エビデンスレベル 1

術後長期的使用:推奨グレード D エビデンスレベル 1 とされています。

※推奨グレードB 行うように勧められる科学的根拠がある

※推奨グレードD 無効性や害を示す科学的根拠がある

※エビデンスレベル1 システマティック・レビュー/RCT のメタアナリシス

 

 

つまり、短期的には良いが長期的には効果がないという解釈になります。

 

・ TKA 後 CPM の使用は,関節可動域に関して有効であるが,臨床的意義に関しては小さい。また,麻酔下のマニピュレーションの実施数は減少するがエビデンスとしては弱い。

 

・ 通常の理学療法士による介入のみと,それとCPMを併用した場合,術後3か月の時点では屈曲角度,腫脹,機能,疼痛に有意な差は認められなかった。CPM 使用の有意性は認められなかった。

 

・ 自動運動を中心とした理学療法と比較して,CPMの有効性は,短期的にも長期的にも 認められなかった。

 

・ CPM の使用は,短期的には関節可動域の改善に有効である。しかし,長期成績には影響を与えなかった。また,CPM の長期使用は,関節可動域の改善にほとんど影響はない。

 

・ TKA 術後,通常の理学療法にCPMを併用することによるさらなる効果は認められなかった 。

・ TKA  術後,通常の理学療法に CPM を併用することは,患者にとって有益である。し かし,その使用期間,強度についてはさらなる研究が必要である

(理学療法診療ガイドライン2011)

 

 

実際には短期的にも効果を示すという報告は多くはないようですね。

 

しかしながらこのような大規模な研究ではこのような結果が出ていますが、個々でみると確かに効果出ていそうな人、または弊害になっているのでは?

と思うような人もいるのが事実です。

 

つまり個々によって効果的な使用方法が出来ているかどうかがポイントなんです。

 

 

 

CPMを効果的に行うためには?

悪い例を紹介します!

 

「とくかく痛みに耐えて必死に頑張りました。」

「最後の曲がりのところで押し返してしまいました。」

 

このような使用者も多々おります。

私個人的にはこのような場合は間違った使用法だと考えています。

 

実際にTKA後に曲がりが良い人は、膝を伸ばす筋肉の力を上手に抜くことが出来る人です。

 

人間は痛みがあると防御機構が働き、これ以上曲がらないように押し返したり、突っ張ったりしてしまいますが、これでは膝は曲がりません。

 

それどころか力を抜くことが出来なくなってしまいます。

 

押し返したり、突っ張ったりしてしまうほどの痛みが出ないギリギリの角度に設定し、

他動で動かされている中でも力が抜けて曲がる感覚を意識することが最も効果的なやり方だと考えています。

 

 

CPMの正しい設定角度は?

先に記述したようにCPMの正しい設定角度は、

押し返したり、突っ張ったりしてしまうほどの痛みが出ないギリギリの角度であります。

 

ただ余りにも猶予があり過ぎても効果はありません。

例えば100°曲がる膝に90°の角度設定で行っても改善していかないことは容易に想像がつくでしょう。

 

では、100°曲がる膝に対して何度でも行うのが良いでしょうか?

 

まず考慮しなければならないのがCPM上の角度は、実際の角度とややギャップがあるということです。

これはCPMに乗せた膝の回転軸と、CPMの回転軸の位置に差があるためで(CPMの方が下方)、

おおよそ5°程度は誤差が生じるでしょう。(CPMの角度の方が良い角度となる)

 

これらを踏まえた上で、実際に100度曲がる膝に対しては110°、

もしくは115°など、10°~15°くらい大きな角度で行うのが改善を目的とする場合には良いでしょう。

 

とは言っても、やはり下肢を乗せる位置がズレていたりするとその限りではないので、

一回は屈曲と伸展の運動を確認した上で、

押し返したり、突っ張ったりしてしまうほどの痛みが出ないギリギリの角度に調整して下さい。

 

 

まとめ

今回は、人工膝関節全置換術(TKA)後のCPMって効果の効果の有無や、有効に使用するための方法や角度設定について紹介しました。

 

個々に応じて適切な方法で、かつ適切な角度で行うことが重要で、それらをしっかり確認することで効果が少しでも高められるのではないかと考えています。

 

また、

“CPMに取り組む!=膝を曲げなければいかない!”

という方向へ気持ちを向かせるような心理的な効果までCPMの良い部分ではないかとも思っています。

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