「肩関節周囲炎(五十肩)」の3つの病期とリハビリテーションとは?
“五十肩”(または四十肩)と呼ばれる肩関節の障害は、
正式な病名ではありません。
50歳代(または40歳代)に好発する肩関節周囲の炎症性の疾患であり、
正式には、「肩関節周囲炎」と言います。
「肩関節周囲炎」とは、
肩関節の“疼痛”や“関節可動域制限”を主体とした、
炎症性疾患の総称です。
そのため、一概に肩関節周囲炎と言っても
その病態は多岐に渡り、原因も様々となります。
それでも、加齢に起因する筋肉や腱、靭帯などの編成がその中心であると言われています。
主な症状は、“疼痛”であり、
徐々に疼痛から不動に陥り、“関節可動域制限”が生じると、
日常生活にも多大な影響を与えることとなります。
治療法の多くは、”保存療法”が選択され、
投薬に加えて、【リハビリテーション】が重要となります。
そこで今回は、「肩関節周囲炎(五十肩)」の3つの病期とリハビリテーションについて解説します。
「肩関節周囲炎(五十肩)」の原因や症状はこちら
→「肩関節周囲炎(五十肩)」ってどんな病気?原因や治療は?
Contents
肩関節周囲炎の3つの病期とは?
肩関節周囲炎には、
発症から慢性の経過をたどりますが、
その経過はある程度決まった過程をたどります。
その経過は3つの病期に分類され、それぞれの病期に合わせた治療方法が適応となります。
以下に3つの病期について解説します。
(1)疼痛痙縮期
<期間>約2〜9ヶ月
発症急性期であり、症状は“疼痛”が主体です。
原因のない痛みや肩の違和感などが生じ、運動時のみならず、
安静時や夜間痛なども生じます。
(2)拘縮期
<期間>約4〜12ヶ月
亜急性期の時期であり、症状は“拘縮”が主体です。
安静時痛や夜間痛は徐々に軽減しますが、
肩関節の拘縮が生じます。
(3)回復期
<期間>約12ヶ月以降
回復期になると、徐々に“疼痛”は軽減します。
それに伴って、肩関節の不動はなくなるため、拘縮が進むことは少ないですが、
拘縮期で生じた拘縮は残存します。
「肩関節周囲炎(五十肩)」の発症メカニズムはこちら
→「肩関節周囲炎(五十肩)」の発症のメカニズムとは?
3つの病期別リハビリテーションとは?
3つの病期を見極め、それぞれの時期に見合ったリハビリテーションを効率的に進める必要があります。
(1)疼痛痙縮期
疼痛が主体の時期であり、炎症が生じています。
そのため、投薬を中心とした“疼痛緩和”を進め、
疼痛のない範囲での自動運動やリラクゼーションを実施します。
活動時に疼痛が強い場合には、
必要に応じて“三角布”での固定を行います。
また、就寝時には、側臥位で枕を抱え、肩や肘が軽く曲がるような姿勢をとると楽に寝ることが可能です。
(2)拘縮期
拘縮期では、放っておくと拘縮が進行するため、
徐々に関節可動域訓練を開始します。
この際には、温熱療法も併用すると有効であり、
ホットパックなどを使用したのちにストレッチングなどを実施します。
(3)回復期
回復期では、これまでよりも疼痛が減少しているので、
より積極的な運動療法を実施していきます。
他動運動による関節可動域訓練や、
自主訓練として“コッドマン体操”などが推奨されます。
※コッドマン体操:肩周囲筋の余分な緊張を結いた状態で行える運動です。
まとめ
今回は、「肩関節周囲炎(五十肩)」の3つの病期とリハビリテーションについて解説しました。
痛みを我慢して日常生活で使用し続ければ良いわけではありません。
適切な時期に適切な治療を受けることこそが、
改善への近道となります。
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