「ペルテス病」ってどんな病気?原因や症状、治療法は?
小児期に生じる疾患の一つに、
「ペルテス病」があります。
小児期には、股関節に生じる疾患を罹患しやすく、
あまりに発見が遅れると、将来的にも後遺症を残しやすいため注意が必要です。
「ペルテス病」とは、
股関節を構成している、
大腿骨側の“大腿骨頭”の血流が途絶えて、壊死してしまう疾患です。
成人で生じる大腿骨頭壊死とは異なる病態で、
小児の「ペルテス病」は、骨端症の一種であり、
小児が持つ活発な修復機転により
骨成長期を通じて大腿骨頭は修復されます。
成人の大腿骨頭壊死はこちら
→大腿骨頭壊死とは?その原因や症状、治療法は?
ただし、その治癒の程度には個人差があり、
適切な治療を行わなければ高頻度で後遺症を残します。
そこで今回は、「ペルテス病」について、
その原因や症状、治療法などについて解説します。
「ペルテス病」とは?
股関節は、
骨盤側にソケットのようなくぼみのある“臼蓋”に対して、
大腿骨側にボールのような丸い“大腿骨頭”がはまり込むように形成されています。
「ペルテス病」では、
この“大腿骨頭”への血流が途絶えることで、壊死する疾患です。
1歳から10歳くらいの男児に好発します(特に4〜8歳に多い)。
おおよそ3年程度で自然治癒が認められますが、
障害の程度によっては、後遺症が残る場合があります。
また、修復の過程での過度な力学的負荷は、
変形を招く恐れなどがあり、後遺症の可能性を助長します。
「ペルテス病」の原因は?
「ペルテス病」は、
大腿骨頭骨髄核の血流障害が病態ですが、
血流障害が発生する原因ははっきりとは分かっていないのが現状です。
ただし、小児期の元気な男児に好発することから、
何らかの力学的なストレスが発症に関与するとも言われています。
「ペルテス病」の症状は?
「ペルテス病」は小児に多い疾患であるため、
外部観察にて発症に気づくことも大事です。
歩行時の跛行を認めることが多く、
・足を引きづって歩く
・足にしっかりと体重がかかっていない
などの症状が観察されます。
さらに、
・太ももや股関節の疼痛
・太ももから膝にかけての疼痛
・股関節の動きが悪い
・あぐらができない
進行すると、
・跛行が酷くなり歩けない
・片方(悪い方)の足が細く、短くなる
などの症状が認められます。
個人差もあり、ゆっくりと進行するため、発見が遅れることもあるのです。
また、膝に疼痛が出現することがあるため、
膝の疾患と間違いやすいことも発見の遅れる原因の一つです。
「ペルテス病」の治療は?
「ペルテス病」の治療方法は、
疾患の重症度によって異なり、
・経過観察(治療が不要)
・装具療法
・手術療法
に分かれます。
5歳以下の比較的低年齢で発症した場合には、
“経過観察”となり、自然治癒の程度を観察していきます。
それ以外の場合や、自然治癒がなされない場合には、
「装具療法」が検討されます。
壊死に陥った骨頭を正常の臼蓋の位置に収めるために使用します。
装具は、股関節屈曲30°、外転30°、外旋30°の開排位での肢位であり、
杖などを使わずとも、歩行ができるように改良されています。
ただし、ある程度長い期間装着が必要であり、
体型の変化によっても、サイズの調整などが必要になります。
装具療法に関する詳しい記事はこちら
→「ペルテス病」に対する装具療法とは?装具の名前は?
「手術療法」に関しても目的は同様で、
壊死に陥った骨頭を正常の臼蓋の位置を修復します。
・大腿骨内反骨切り術
・臼蓋骨切り術
などの方法が存在します。
まとめ
今回は、「ペルテス病」について、その原因や症状、治療法などについて解説しました。
低年齢で発症するほど、予後は良いと言われていますが、
大事なのは、治療開始が遅れないように早期に発見することです。
日頃の我が子の観察が重要となるのは言うまでもありません。
小児疾患に関する記事はこちらもどうぞ
→小児の骨折の特徴とは?
→子供に頻発、肘の脱臼「肘内障」とは?整復できるの?
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