大腿骨頸部骨折や転子部骨折の保存療法のポイントは?

    
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大腿骨頸部骨折や大腿骨転子部骨折は、

骨の脆弱性を呈す高齢者に頻発する外傷性の骨折です。

 

我が国では急速な高齢社会を迎え、増加の一途をたどるこれらの骨折は、社会的にも医療経済的にも非常に重要な骨折と位置付けられています。

 

多くの場合は、【手術療法】が選択されますが、

場合によっては【保存療法】が選択されることもあります。

 

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大腿骨頸部骨折は、

“股関節の付け根の部分にある、大腿骨頭のすぐ下のくびれ部位である大腿骨頸部の骨折”です。

 

一方、大腿骨転子部は、

“大腿骨頸部のすぐ遠位の出っ張り部分に相当する転子部の骨折”です。

 

大腿骨頸部・転子部骨折に関する詳しい記事はこちらを参照ください!
大腿骨頸部骨折とは?原因や症状は?治療方針は?
大腿骨転子部骨折とは?手術の種類は?骨接合術ってどんな手術?

 

 

いずれの骨折も多くの場合に【手術療法】が適応となります。

特に大腿骨頸部骨折は、血流の途絶や構造上剪断力に弱いなどの理由から手術療法を選択される場合が多いです。

大腿骨頸部骨折の手術療法はこちら
大腿骨頸部骨折の手術療法の種類は?人工骨頭置換術とは?

 

 

しかしながら、幾つかの理由によっては保存療法が選択される場合もあります。

保存療法の内容としては、

・安静により、骨癒合を待つ
・全身状態を低下させないためのリハビリテーション

などがありますが、荷重時期や手術に伴う合併症がないという点以外では基本的には、手術療法後の経過と大きな相違はありません。

今回は、大腿骨頸部骨折や転子部骨折における保存療法のポイントを解説します。


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保存療法が選択される背景は?

大腿骨頸部骨折には、血流が途絶しやすく骨頭壊死のリスクがあったり、剪断力に弱いなどの要因から手術療法が選択されやすいです。

 

また、大腿骨頸部骨折や転子部骨折は、「=寝たきりになりやすい疾患」としても知られ、できるだけ早期からの離床や歩行訓練が望まれています。

 

そんな中で、保存療法が選択される背景とはいかなるものなのでしょうか!?

幾つかの要因を挙げてみます。

 

 

【全身状態を悪化させる内科疾患がある】
高齢ともなると、重篤かつ複合的に内科疾患を有している場合が多いのです。

いくら下肢の手術とはいえ、全身麻酔は様々なリスクが伴い、時には全身状態を悪化させ命に関わることもあるのです。

 

 

【重症度が低い】
骨折の診断には、基本的にX線(レントゲン)が第一選択です。しかしながら、レントゲンでも確認できないような軽微な骨折の場合、MRIやCT検査を行うのです。

このような重症度としても軽微な骨折の場合は、保存療法が選択されることもあり得るのです。

 

大腿骨頸部骨折・転子部骨折の重症度分類はこちら
大腿骨頸部骨折の診断や分類方法は?Garden分類とは?
大腿骨転子部骨折の診断や分類方法は?Evans分類って何?

 

 

 

保存療法の実際

では、保存療法とは実際にどのように進められていくのでしょうか!?

 

 

免荷・安静の管理

骨折部が癒合するまでの期間は基本的に免荷で安静を保つ必要があります。

当然無理な荷重は、骨折部の転位を招いたり、偽関節を生じさせたりと様々なリスクが伴います。

まずは、ベッド上での牽引保存療法が行われます。

 

・スピードトラック牽引などの介達牽引
・鋼線牽引などの直達牽引

が主流となっています。

 

骨折の程度にもよりますが、免荷期間は4-5週程度が一般的です。

しかしながら、その間に完全な不動をしいては体力低下・認知機能の低下を招くばかりでなく、褥瘡や腓骨神経麻痺などのリスクを伴います。

腓骨神経麻痺とは?原因は何?下肢の手術後は要注意!
腓骨神経麻痺とは?原因や症状は?術後の合併症として注意!

 

牽引が終了したのであれば、患側の免荷を守りながら徐々に車椅子へ移乗し、トイレにも行くことが重要です。

 

 

早期リハビリテーションの介入

免荷・安静を保つことは大事ですが、不要な安静は体力・認知機能低下を招きます。

受傷直後からリハビリテーションを開始します。

 

理学療法として、まずは健側の関節可動域訓練や筋力増強訓練を開始、患側に関しても安静度が解除され次第同様に進めていき、立位や歩行への準備を進めます。

また、免荷期間中であっても、
健側下肢での車椅子への移乗や、平行棒内での立ち上がり・立位訓練などを進めましょう。

 

特に高齢者であれば、このような対応が遅れて廃用症候群による体力低下は致命的となります!

廃用症候群とは!?原因や予防方法は?リハビリで治る?
大腿骨転子部骨折に合併する小転子骨折とは?リハビリは進めるべき?

 

 

意欲低下への対応

誰だって、ベッド上で安静を強いられれば身体だけでなく、精神的な苦痛も感じます。

若ければ勉強や仕事の遅れを感じることもあるでしょうし、

高齢の場合は意欲低下がそのまま認知症の進行を進めることもあります。

 

医師だけでなく看護師や療法士、家族との関わり、適切な目標設定や叱咤激励が、長期の入院を強いられる保存療法の鍵と言えるでしょう!

 

 

 

まとめ

今回は、大腿骨頸部骨折や転子部骨折における保存療法のポイントを解説しました。

手術療法に比べて入院期間の長期化などのデメリットはありますが、手術侵襲も少ないなどのメリットもあります。

重要なのは、あきらめずにリハビリテーションを継続して行っていくことです。

そのためにも家族や周囲の方の励ましなども非常に大切なことなのです。


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