腓骨神経麻痺とは?原因や症状は?術後の合併症として注意!

    
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腓骨神経麻痺とは、文字通り「腓骨神経」の麻痺です。

下腿や足部を中心に運動や感覚を司る腓骨神経の麻痺は、

様々な障害を引き起こします。

腓骨神経麻痺の原因は多岐に渡り、適切な管理が必要です!

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腓骨神経は、

“膝関節の後面から、下腿の外側に沿って走行する神経”です。

主に、下腿に存在する筋群の運動や感覚を司ります。

 

腓骨神経の麻痺は、

・長時間の圧迫
・直接的な損傷

などによって生じることがあります。

 

多くは、股関節や膝関節周囲の手術による術中の操作や、

術後の管理によって引き起こされます。

 

下垂足を代表的な症状とし、

下腿や足部の感覚障害を呈すことがあり、

歩行を始めとして後遺症を残すことも少なくありません。

 

そこで今回は、術後の合併症としても注意が必要な、

腓骨神経麻痺の原因や症状などについて解説します。

腓骨神経ってどこにあるの?

そもそも腓骨神経ってどこにあるのでしょうか?

(ここでいう腓骨神経は総腓骨神経のことを指します)

 

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下肢の筋肉の運動や感覚を司る神経は、腰髄や仙髄から枝分かれし、

「坐骨神経」と呼ばれる、人体最大の末梢神経としてまとまって走行します。

坐骨神経は、臀部の後方を走行します。

 

臀部後方を走行した坐骨神経は、

膝の裏のやや上方で、

「脛骨神経」「総腓骨神経」に枝分かれします。

 

枝分かれしたそう腓骨神経は、腓骨頭の後方を走行し、

足の外返しに作用する長腓骨筋や短腓骨筋に分布する浅腓骨神経と、
足部や足趾の反りに作用する深腓骨神経に分布します。

 

 

腓骨神経の原因は?

腓骨神経麻痺の原因は、

腓骨神経に対する

・圧迫
・直接的な外傷

などによって生じます。

 

これらが生じる原因は多岐にわたりますが、

幾つか代表的な原因について解説します。

 

 

大腿骨頸部骨折によって生じるもの

大腿骨頸部骨折は、大腿骨の付け根の部分に相当し、

大腿骨頭のすぐ下の大腿骨頸部の骨折です。

 

大腿骨頸部の後方には、坐骨神経が走行しており、骨折に伴って稀に損傷を受けることがあります。

坐骨神経からの分枝である腓骨神経は、この損傷によって影響を受けることがあります。

 

大腿骨頸部骨折に関する詳しい記事はこちら
大腿骨頸部骨折とは?原因や症状は?治療方針は?
大腿骨頸部骨折の手術後のリハビリテーションの内容は?期間はどのくらい?

 

 

術中の操作によって生じるもの

大腿骨頸部骨折後の人工骨頭置換術や、

変形性股関節症に対する人工股関節全置換術など、股関節後方より操作を行う手術療法によって、坐骨神経を損傷することがあります。

変形性股関節症の手術療法とは?どんな種類や方法がある?
変形性股関節症や人工股関節全置換術後のリハビリテーションとは?

 

当然起きてはいけない人為的なものですが、

臀部の後面は様々な血管や神経が走行している中で、癒着や変形の強い股関節や、転位の激しい骨折の場合の操作は容易ではありません。

 

腓骨神経の大元である坐骨神経が傷ついてしまうことがきっかけで、

腓骨神経損傷を被ることも決して少なくありません。

 

 

術後の管理によって生じるもの

主に下肢の手術後に当てはまることですが、

術後は数日間ベッドで臥床することが多いです。

 

さらに、弾性包帯やギプスで固定されていることや、疼痛などから

下肢を動かすことが困難であります。

 

直接的に弾性包帯やギプスで腓骨神経が圧迫されること、
もしくは、下肢が外旋位となることで、地面と腓骨頭の間で腓骨神経が圧迫されること

腓骨神経麻痺が生じます。

 

これは、術後の管理で予防できることであり、

こまめな下肢の運動や感覚を確認することで症状の出現を早期に完治し、対応することが必要です。

 

しかしながら、腓骨神経麻痺の多くは、この術後の管理で生じているのです。

 

 

その他の要因

その他の要因としては、

・梨状筋症候群による圧迫
・短下肢装具の圧迫

などが挙げられます。

 

大腿部の後面に位置する梨状筋の筋緊張が高まると、直接的に坐骨神経を圧迫することがあります。

また、短下肢装具の圧迫では、直接的に腓骨頭後面が装具の形状によって圧迫されて生じることがあります。

短下肢装具に関する記事はこちら
脳卒中片麻痺|装具の種類や適応は?

 

 

腓骨神経麻痺の症状は?

それでは、腓骨神経麻痺を呈するとどのような症状が現れるのでしょうか?

代表的な症状は、

・足関節周囲の運動麻痺
・足関節周囲の感覚障害

です。

 

腓骨頭の部分での圧迫によって生じる腓骨神経麻痺の場合、

(浅腓骨神経)
・長短腓骨筋

(深腓骨神経)
・前脛骨筋
・長趾伸筋
・長母趾伸筋
・短趾伸筋
・短母趾伸筋
・第三腓骨筋

などです。

多くは、足関節を上に招く運動である【背屈】と、
足趾を上に招く運動である【伸展】が不能となります。

足首がブランとしたに垂れ下がるような「下垂足」が最も代表的な症状です。

 

また、足関節周囲の感覚障害では、

主に足の背面から指にかけて「しびれ」「異常感覚」が生じます。

 

 

まとめ

今回は、術後の合併症としても注意が必要な、腓骨神経麻痺の原因や症状などについて解説しました。

人的なミスや管理で生じるものが多いですが、なかなか防ぐことができない現状もあります。

特に手術後などは自己でも能動的に管理できるよう正しい知識を持つことが重要です。


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