人工関節後でも旅行に行くためのポイントは?温泉に入っても大丈夫なの?

    
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人工関節置換術を実施する人の希望として、

「旅行に行きたい」

「大好きな温泉巡りがしたい」

といったことがよく聞かれます。

 

それは希望であると同時に、

本当に出来るのかという疑問でもあります。

 

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人工関節置換術とは、

“変形性関節症”と呼ばれる関節構成体である軟骨が変性することで変形したり疼痛が生じたりする疾患に対して行われる、

標準的な手術療法です。

 

変性した軟骨を人工物に入れ替える手術であり、

日本では特に、“膝関節”“股関節”に対するものが大部分を占めています。

 

これらの人工関節を行うことによるメリットは、

歩行や階段昇降時などの荷重時に生じる疼痛の劇的な軽減です。

 

これによって、日常生活における移動能力が飛躍的に向上するといっても過言ではなく、

心理面も含めて生活の質(QOL)が大きく向上することが期待できます。

 

一方で、必ずしも良い面ばかりでなく、

人工膝関節置換術では、正座をすることが困難となったり、

人工股関節置換術では、脱臼のリスクを常に抱えていることから股関節を捻る動作に制限が生じるなど、

常に動作に制約がかかります。

 

そこで気になるのは、冒頭のように、

「旅行に行きたい」

「大好きな温泉巡りがしたい」

といった希望を叶えるために行った人工関節の手術だったのに、

本当にそれらが実現できるのかということ。

 

そこで今回は、人工関節置換術後でも旅行に行くためのポイントは?また温泉に入っても大丈夫か?

について解説します。

(なお、ここでいう人工関節は膝関節や股関節の両者を含めたもので、あくまで総論として解説します)

 

それぞれの人工関節に関する詳しい記事はこちら↓

【人工関節全置換術】
変形性膝関節症の手術療法「TKA」とは?他にも手術の種類があるの?
UKAってどんな手術?TKAとは違うの?そのメリットは?

【人工関節全置換術】
変形性股関節症の手術療法とは?どんな種類や方法がある?
変形性股関節症や人工股関節全置換術後のリハビリテーションとは?

人工関節置換術後でも旅行に行ける?

老後の楽しみとして、

“旅行に行くこと”を挙げている人は少なくないでしょう。

 

結論から言うと、人工関節置換術後でも旅行に行くことはもちろん可能です。

 

では、人工関節置換術後でも不自由なく旅行に行くことは出来るのでしょうか?

それにはある程度準備や、リスクを想定しておく必要があります。

考えるべきポイントは、旅行中にどのような動作を行うかどれくらいの活動量が必要かという点です。

 

 

一日の歩行量はどれくらいかを考える!

人工関節置換術後といっても、

果たして健常な頃と比べて同じくらいの距離を歩くことは出来るでしょうか?

 

術後から間もない、

または術後も長らく痛みが遷延した場合などにも十分な歩行量を獲得していない場合もあります。

 

そのため、その旅行でどれくらいの歩行量が必要になるかを計算し自身の能力と照らし合わせてスケジュールを組みましょう。

疲労軽減や歩行距離の延長のためには杖などを使用することも有効です。

 

 

負荷の強い動作が要求されるかを考える!

人工関節置換術後は、

筋力の回復が不十分でない場合、

力強く踏ん張る動作が安全に行えなえない場合があります。

 

例えば、階段昇降動作が良い例です。

手すりがなければ昇降ができない人も多いので、手すりのある環境を選ぶ

それでも難しい場合は階段昇降の必要のない行き先を選ぶことです。

 

階段昇降動作だけでなく、

高い石段がある、凹凸のある路面を歩く観光地では普段以上の負荷が要求されるので要注意です。

 

 

同行者の活動レベルを考慮する!

人工関節置換術後において、

十分な関節のコントロールが行えない場合や筋力の回復が不十分な場合、

歩行速度が十分でない場合があります。

 

例えば、このような基準は満たしているでしょうか!?
横断歩道を渡るために推奨される「10m歩行速度」の基準値は?

 

もし十分な歩行速度がない場合、同行者がスタスタと歩いていってしまったらおいていかれてしまうのでしょうか?

もちろん、お互い思いやりを持って行動を、悪くいえば気を使いながらでなければなりません。

そのあたりも自身の能力と比較してみましょう。

 

 

 

人工関節置換術後でも温泉に入れる?

人工関節置換術後でも旅行に行くことが可能であることは先に述べました。

では、旅行につきものである温泉に入ることは可能なのでしょうか!?

 

ここでも同じように基本的な動作レベルを考える必要があります。

・温泉にアプローチするための段差は昇降可能か?

・湯の中で足を伸ばして座ることが可能か?

・湯の中での立ち座りが可能か?

などの能力を有している必要があります。

 

また、温泉の場合にはこれらの要素とは別に、

一つ注意しなければならないポイントもあります。

 

 

術後間もない時期には関節に注意!

人工関節置換術では当たり前ですが、

創部に切開創があります。

 

術後間もなくより自然治癒によって創は閉鎖されていきますが、

術後間もない時期では、創の治癒が不十分で常に感染のリスクを抱えています。

 

温泉のような公共の施設の場合、

湯の中でも雑菌がたくさんいることでしょう。

もし、創部に傷が残っていて、そこから感染が生じたら…

 

再び関節の入れ替え手術が必要になります。

そのため、必ず傷が治癒してからでなければなりません。

これは主治医の意見などを聞きながら可能となる時期を検討するようにしましょう。

 

 

まとめ

今回は、人工関節置換術後でも旅行に行くためのポイントや、また温泉への入浴の注意点などを解説しました。

基本的に旅行にも行けますし、温泉にも入れます。

ただし、人工関節置換術後だからどうこうと言うことはなく、

自身の能力と要求される動作などとをきちんと吟味する必要があります。

その点をしっかり検討することで、安全かつ気兼ねなく旅行を楽しむことが出来ると思います。


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