「術後せん妄」って何?原因や症状とは?期間はどのくらい?

    
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整形外科疾患では、

患部の機能回復を目的に“手術療法”が行われることが少なくありません。

 

手術には、幾つかの合併症が存在しますが、

その中でも比較的頻度が高いのが、

「術後せん妄」です。

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「術後せん妄」とは、

“せん妄”の中でも手術の後に生じるせん妄です。

せん妄とは、意識・精神機能障害の一種で、注意力や思考力の低下、見当識障害、幻覚や興奮状態などを症状とするものです。

 

 

「入院したら突然父がおかしなことを言うようになった…」

このような経験がある人は多いかもしれません。

一見、認知症と同様の症状を認めますが、せん妄は数日または数時間で急激に発症する特徴があります。

 

 

このようなせん妄ですが、

特に手術後は、せん妄が生じやすい要因が重なるため、

術後の看護やケア、またはリハビリテーション場面など影響を及ぼすため、対策は急務となります。

その発症率は、10%〜50%と幅がありますが、比較的高頻度で生じることが分かります。

 

 

そこで今回は、「術後せん妄」の原因や症状、発症している期間はどのくらいなのかについて解説します。

「術後せん妄」の原因は?

術後に限らず、せん妄の原因として挙げられるのは、

・心理的なストレス
・環境の変化
・薬剤

これらの影響を受けると言われています。

 

手術を行うということは、不安を中心とした極度の心理的なストレスが生じます。

加えて、手術室から、術後専用の病室に移動したりと環境の変化も大きいです。

さらに、術後の疼痛や不眠を抑制するために様々な薬剤を投与されます。

 

これだけの要因が合わさるため、手術後は特にせん妄を引き起こしやすいと言えます。

また、高齢の人ほど、その適応力が低下するため、リスクは高いのです。

 

 

 

「術後せん妄」の症状は?

術後せん妄の症状とは、

・暴言
・暴力
・幻覚
・見当識障害
・注意力や集中力の低下
・人格の変化

などなどが挙げられます。

 

特に知識のない家族が接すると、

「一体どうしちゃったのだろう..??」

と不思議に感じることがあります。

 

そこで、叱りつけたり、無理に抑制しようとすると、より興奮状態がエスカレートするため、

正しいせん妄の症状を理解することが必要です。

 

 

 

「術後せん妄」の治療は?

術後せん妄の治療方法は、一時的に興奮を抑制するための、

“抗精神病薬”を用いることはありますが、

基本的に根治的な療法はありません。

 

直ちにせん妄が生じた要因を分析し、それらを取り除くことが重要です。

これは予防の意味でも重要であり、

事前の問診などからもある程度発生の予測が可能となります。

 

そのため、事前に医師や看護師を中心として、

心理的ストレスの軽減や環境の調整、さらには投薬状況の見直しなどが必要となるのです。

 

 

 

「術後せん妄」が生じる期間は?

術後せん妄は、手術の後に

おおよそ1日〜3日程度経過した時に生じることが多いです。

 

通常は1週間程度で落ち着くような経過をとります。

自然に回復することは良いですが、

その期間は十分な治療が行えなかったり、

リハビリテーションに遅れが出たりと、不利益が生じやすいのです。

 

そのため、できるだけ早期に改善を促せるようチームとして対策を行っていくことが重要です。

 

 

 

まとめ

今回は、「術後せん妄」の原因や症状、発症している期間はどのくらいなのかについて解説しました。

術後せん妄は比較的高頻度で生じる疾患です。

事前の予防によって未然に防ぐことが重要ですが、

それでも生じてしまうこともあります。

家族を含めて周囲の人間が正しい知識を持って、適切に対応することも重要なのです。


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