「硬膜損傷」とは?脊髄術後の合併症!その症状とは?

    
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昨今では、医療の発展に伴い、

根治的な治療方法として手術療法が盛んに行われますが、

どんな優れた手術にも少なからず“合併症”というものが存在します。

 

脊髄関連の術後に生じる合併症の一つに、

「硬膜損傷」があります。

 

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代表的な脊椎・脊髄疾患として、

・頸髄症
・腰部脊柱管狭窄症

などが有名です。

(他にも様々な疾患が存在します。)

 

これらの疾患の病態は、

脊椎に何らかの変性をきたし、

脊柱の中心を走行する脊髄を圧迫したり狭窄します。

 

保存療法が適応される場合もありますが、

症状が進行している場合には、

手術療法が実施されることが少なくありません。

 

これら、脊髄疾患の手術にはいくつかの合併症やリスクが存在します。

(どのような手術にも存在します)

 

その中の一つに「硬膜損傷」があります。

手術をしたドクターはもとより、周術期を管理するNsや機能訓練を実施する療法士なども知っておくべき病態です。

 

そこで今回は、脊髄術後の合併症である「硬膜損傷」について解説します。


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「硬膜」とは?

「硬膜損傷」を理解する前に、まず“硬膜”という組織を理解する必要があります。

 

“硬膜”とは、

神経組織(脊髄)を覆っている膜組織で、

神経組織と硬膜の間は脊髄液で満たされています。

 

脊髄液は神経組織を保護するために重要な無色透明な液体で、

これらの液を保持する膜として硬膜が存在します。

 

 

「硬膜損傷」とは?

脊髄に対する手術の際には、

圧迫している組織や狭窄している部位を拡大したり切除することで、

神経組織を解放します。

 

その際に、組織と硬膜が強く癒着などを起こしていた場合

硬膜を剥がす必要があり、

硬膜自体が損傷を受けることがあります。

 

このような状態を「硬膜損傷」と言います。

 

なお、硬膜の中に満たされている脊髄液は、

外部へと流れてしまいます。

これを「髄液漏」とも言います。

 

脊柱管狭窄症における手術療法はこちら
腰部脊柱管狭窄症における手術療法の種類や方法とは?

 

 

「硬膜損傷」後の「髄液漏」の症状とは?

「硬膜損傷」をきたし、

「髄液漏」が生じた場合、いくつかの症状を呈すことがあります。

 

それらの症状とは、

・頭痛
・吐き気や嘔吐
・耳鳴り
・めまい
・倦怠感
・自律神経症状
・脳神経症状 etc…

などが生じ、特に体位変換(起立時)など行った際に症状の悪化を認めます。

 

これは、髄液が漏れだすことによって、

脊髄から繋がっている脳脊髄液が減少し、頭蓋内圧が減少することによって生じる症状です。

 

また、持続的に生じてしまっていた場合、

髄膜炎やくも膜炎など重症化してしまう可能性もあります。

 

 

「硬膜損傷」後の「髄液漏」の治療法とは?

「髄液漏」を生じても多くの場合、

保存療法によって自然治癒します。

この場合は、横になっているなど安静にし脱水などの対策をします。

 

一方、保存療法などで自然治癒が得られない場合は、

・ブラッドパッチ
・アートセレブ注入

などの方法による治療が行われます。

 

 

ブラッドパッチというのは、

「硬膜外自家血注入療法(こうまくがいじかけつちゅうにゅうりょうほう)」と呼ばれ、

血液が固まることを利用し、

髄液が漏れだしている箇所を塞ぐという治療法です。

 

アートセレブ注入というのは、

人工髄液を注入する方法で、

人工的に作られた髄液によって髄液を補充します。

 

 

まとめ

今回は、脊髄術後の合併症である「硬膜損傷」について解説しました。

特に注意が必要なのは、離床時であり、

必ず自覚症状の有無はもちろん、バイタルサインや意識レベルのチェックを怠らないようにしましょう。

 

代表的な脊椎・脊髄疾患はこちら
腰部脊柱管狭窄症とは?原因や症状、その治療方法は?
腰部脊柱管狭窄症のリハビリテーションの方法やポイントは?
「頚椎症性神経根症」または「頚椎症性脊髄症」ってどんな病気?


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